SPN闘病録

SPN(充実性偽乳頭状腫瘍)を発症し、膵頭十二指腸切除をした人の記録です。

退院から術後6ヵ月の経過

退院後の診察で摘出した腫瘍の状態について説明を受けました。SPNの多くは転移のない比較的低悪性度の腫瘍なのですが、私の場合リンパ(?)に浸透していて転移する可能性がある位置に出来ていた、いわゆる悪性の腫瘍でした。手術前のPET検査では異常がなかったので、おそらくは転移する前に切除出来ているでしょう、という判断になっていますが、これからも経過観察のため通院は必要とのことでした。

SPNが膵管を圧迫するような位置にできることはなかなか稀だと手術前に聞いていたのですが、膵炎を起こさなければ気づかないまま他のところに転移してしまって手遅れになっていた可能性もあったんだよなと思うと不幸中の幸いだなと思います。

退院後すぐは肝臓の値が少し悪く経過観察をしていましたが、1ヵ月ほどで正常値に戻りました。ちょっと不安だったので調べたのですが人によっては膵臓の働きが落ちるので脂肪肝になってしまう症例もあるそうです。

術後6ヵ月の検診ではCT画像で小さな膿瘍があったのですが、一旦は経過観察で大丈夫とのことでした。次は術後1年の検診が待ってます🏥

日常生活には戻れたものの、再発や転移など少し不安に思うところは残っています。でも、私がそうだったように健康体でもいつ病気になるかはわからないのであまり重く考えず、これからも自分の体と付き合っていけたらと思います💪

退院後変わったこと

食事を再開してからはゆっくり食べることを心掛け、無事吐き気は前よりも無くなって、戻すこともなくなりました。レントゲン・採血の結果も問題なく、痛み止めや整腸剤などの薬をもらい、入院期間1ヶ月ほどで退院することが叶いました。

特に食事制限などはなく、油物を食べすぎなければ良いよ〜くらいでしたが、実際のところ術後1,2ヶ月くらいは油のある肉系のものは食べると吐き気が来るので避けていました。基本は魚や鶏胸肉、鍋系の料理などを食べるようにしていました。しばらくは食事内容に関わらず、食後は吐くほどではないですが軽い吐き気と倦怠感がある感じでした。

健康的な便が出るようになるまでも時間がかかったと思います。術後しばらくは下痢のような感じで分解しきれていない油が浮いている状態でした。術後10ヶ月ほどになった現在でもお腹が緩いときは油出てきます。(トイレ掃除の頻度増えました😓)

体重に関しては術後は-1,2kgで思ったより減らなかったな、と思ったのですが、日常生活に戻ってからやはり油の吸収が出来てないせいか、毎日食事を摂っていても緩やかに体重が減っていって結果-7kgくらいになってしまいました。目に見えてヒョロくなっているのでせめて筋肉はつけたいな、と思っています。

傷の痛みはほとんどなく、少し調子に乗ってベッドにダイブ!!などしなければ痛むことはないです!(←ダイブした人😇とても痛かった😢) 傷はミミズ腫れのようになっていて、仕事で一日中座っていると傷が固くなってちょっと攣るような感じがするので多少は体を伸ばしたりして血行良くした方がいいのかも、と思います。

「食事制限はなし」というのが半信半疑でしたが、割と好きなものは食べれています。油ものには確かに弱くなっている感覚はありますが大人になって油ものキツくなった〜というのとそんなに変わらないレベルかなと思います。元々お腹が弱い方なので変化が感じづらいのですがやはり下しやすくはなっているかもしれません。でも日常生活は大きく変わらず、元の生活はほぼほぼ送れていると思います。

食後の吐き気

術後7日目くらいには点滴も取れて、諸々の管が全部外れてたと思います。食事は日ごとに固形のものになっていって血液検査なども含め、比較的経過はよかったです。ただ、食後は腹痛と吐き気が続いているのが気がかりでした。数値は良かったので担当医からは

「このまま食事も全粥食べれるくらいまで行けたら来週には退院できそうだね!でも経過次第なのであまり期待はせずに退院できたらいいな、くらいに思っておいてください。」

と言われていました。リハビリも毎日やって傷の痛みも無くなってきていたので、あとはお腹が慣れて食事を十分に摂れるようになることを祈って過ごしていました。しかし、食事が五分粥ほどになった頃、吐き気が急激に増して乗り物酔いのような気持ち悪さでリハビリがままならなくなってしまいました。その夜、吐き気が止まずついには戻してしまいました🤮

翌朝戻してしまったことを看護師に伝え、2日ほど食事を中止して点滴を再開することになってしまいました。担当医曰く、胃の下の方も手術で切っているので胃が動かなくなって消化が出来なくなっていたのかも、とのことでした。

食事を摂らないので吐き気はなくなりましたが、吐き気以外の体調は良かったため、ただただ元気な状態で退院が先延ばしになってしまったことにかなり焦りを感じてしまい、入院中、この期間が一番精神的に辛かったです。夫とは定期的に連絡を取ってたまに電話したりしていたのですが、「焦らずにしっかり治してね」と励ましをもらい、友人からも「退院して元気になったら遊びに行こう」と言ってもらえて、沈んでいた気分も救われました。

病気が見つかって手術が決まった時も、両親はかなり支援してくれて、職場の方も長く空けることになるにも関わらず「気にせず治療に専念してください」と言ってもらっていて、周りの人たちに恵まれていることに今でも本当に感謝しています🙏

術後の痛みと食事

術後3日目の夕方くらいに背中に入っていた痛み止めが終了。なんか鈍痛が強くなってるなぁと感じつつ、夜を迎えました。痛みはだいぶ酷くなっていて、膵炎と同じくらい激しい痛みに襲われました。痛み止めをもらい、なんとか眠ろうとしたのですが改善されず、痛みは増す一方で、その夜はほぼほぼ眠れませんでした。翌朝、担当医の出勤を待ち、背中の痛み止めを再開することになりました。若い人ほど膵液が活発なので痛みも若い人の方が強く出てしまうそうです。多めに痛み止めを入れてもらっていたそうで、再開後は段々痛み止めの量を減らして様子を見てから抜くようにしましょう、という方針になりました。

日課の採血を済ませ、お腹に刺さっていたドレーンを抜いてもらいました。抜くときは麻酔とか使うのかな〜と思っていたのですが、なんとそのまま担当医が引っ張って抜いていました。お腹の中でチューブが動く不快感があるくらいで痛みなどは一切なかったです。抜いた跡はSDカードを入れる穴みたいになっていて、そこから液体(膵液?)が漏れ出すのでガーゼを当ててもらいました。

お昼頃、術後からシャワーを一切浴びていなかったので、カテーテルが入っている部分と頭を洗ってもらいました。気分はわんこ🐶(術後から下着を替える機会がなく、おりものでかなり汚れてしまっていたので、女性の方は術後身動きできない場合は紙オムツやパンツタイプのナプキンを着けて手術に向かった方が良いと思います)

この日から食事が開始になりました。食事と言っても経口栄養剤的なドロッとした何かで、美味しいものではなかったです。まだ消化機能が働いていなかったらしく、飲んだ瞬間便意が来てすぐさまトイレに駆け込みました。食事どころじゃない。大腸カメラのときに飲むやつと同じ状態になってました。そこからずっとお腹の調子が悪くこの日の夜もあまり眠れなかったですが、再開した痛み止めのおかげで傷の痛みは一切なく、昨夜よりは眠ることが出来ました。

術後5日目からは栄養剤を卒業してペースト状のいわゆる流動食になっていました。相変わらず消化機能が戻ってこなく、食べるとすぐに出て行ってしまう状態で、食事中ほとんどトイレに閉じこもっていました。通常のご飯が食べられるようになるまでの道のりは果てしない...(遠い目)

手術直後の状態

麻酔から覚めるとICUにいて、事前説明の通り身体中に管が刺さっていました。点滴が右手に1本、左手に2本、背中に痛み止めが1本、お腹に排液ドレーンが2本、鼻から胃に向けてチューブが一本。酸素マスクも付けられていて、体には大きな毛布が掛けられていました。麻酔のおかげで痛みはなかったのですが体はずっしりと重く、意識も少し靄がかかる感じでした。

目が覚めてからしばらくして夫と両親が面会に来てくれました。コロナ禍で面会制限が厳しく扉越しでしか会えないと聞いていたのですが、看護師さんが目の前まで連れてきてくれました。自分は力なく手を振るくらいしか出来ませんでしたが、労いの言葉を掛けてくれて、安心のあまり少し涙してしまいました。朝から手術をしていてこの時は夕方くらいになっていたと思います。

夜はそのままICUで過ごしました。寝るときは看護師さんが「横向きの方がいいかな?」と体の向きを変えてくれましたが、鼻のチューブが喉の苦しいところに当たっていて一晩中咽せ続け、巡回の看護師さんにめちゃくちゃ心配されました。明け方になって気づいたのですが横向きになってたせいで喉に当たっていたらしく、仰向けになっていれば問題なかったです。そこからようやく眠れたので睡眠時間2時間くらい。辛かった...😭

朝になって、寝た状態でも撮れるレントゲンを済ませ、問題ないことが確認されてから、やっとにっくき鼻チューブを抜いてくれました。「酸素マスクももういいね!」とベテランっぽい看護師さんに言われて酸素マスクも持っていかれましたが、まだ息苦しかったです。さらに「気が紛れるから!」とテレビをつけてくれてしばらくボーッと眺めていました。そこから少し経って

「今日HCUに移動しますね〜。隣の棟だから歩いて行こう!」

と言われました。

この状態で私、歩けるんですか!!??

術後翌日からリハビリ始まるらしいのは事前リサーチして知っていたのですが実際に言われるとあまりにも無茶振りでは????と思います。

点滴のスタンドに体重を預け、小さな歩幅で移動しました。立った時の体の重さが尋常じゃない。「体重計あるからついでに測って行こうか〜!」と明るく看護師さんが宣ってましたが私は半笑いでした。鬼畜。通りすがりの看護師さんにも「うわ!もう歩いてるの?若いってすごいわ〜」などと言われていました。ICUの看護師さん、みんなハキハキしてて生気を感じました。

無事HCUに移動して昨日眠れなかった分ゆっくりと眠りました。この日からリハビリも始まり廊下を往復して体を動かしました。大きな手術の直後でも案外体は動くもんだなと思いました。

翌日には一般病棟に戻ることになり、荷物が返ってきたので夫や友人に生存報告をし、気が紛れるかなぁと某ソシャゲにログインしてガチャを引いたらまさかの星5を引きました🌟🌟🌟🌟🌟術後のご褒美やん!とテンションが上がり夫に自慢して力尽きてそのまま寝てしまいました。一番心配しているであろう両親に連絡するの忘れてましたね。本当に申し訳ないと思ってます🙏(後で夫が連絡してくれたそうです。)

手術に向けて

無事転院手続きを終え、手術に向けて準備が始まりました。

この時点で膵炎で入院してから3,4ヶ月ほど経っていたので現状腫瘍がどうなっているか、全身調べて他に腫瘍がないかなどの検査を受けました。このPET検査というものを初めて受けたのですが、放射線区域で行われるものでなかなか緊張感のあるものでした。(検査費用は保険適用でもお高めです💰)

検査結果を元に手術計画を立ててもらい、手術予定日を決め、次は手術が受けられる状態か確認するための体力測定を行いました。段差を上り下りしたり肺活量測ったり簡単な運動でしたが、コロナ禍でリモート勤務になり引きこもり生活を満喫していた身にはちょっぴりキツかったです。

それから手術内容や麻酔について、術後の状態についても説明を受けました。術後は体に様々なチューブが刺さっている状態になるので麻酔から覚めてパニックにならないよう事前に説明しているそうです。

検査・体力測定ともに問題なく、手術日の3日ほど前から入院することになりました。入院期間は一旦1ヶ月を見積もって職場にも都合をつけてもらい、いよいよ手術が目の前までやってきました。

病室は部屋代のかからないカーテンで仕切られた4人部屋だったのですが、前の病院よりも広くて充分快適に過ごせそうでした。流石大学病院...!前の病院は部屋代かからないところがなかったので有り難かったです。

手術前日、腹腔鏡でヘソからカメラを刺すためヘソを綿棒でグリグリ掃除されたり、大腸カメラのときにも使う腸内洗浄の薬を飲んでお腹を空っぽにしたりと着々と準備を進めていきました。手術同意書は事前に書いていたのですが、大学病院ならではで、摘出した臓器や採取した血液を研究に使いますよ〜という内容の同意書を渡され、そちらにもサインをしました。生存期間なども記録されるそうで、「スゲー!なんかかっけぇ!!🤩」とちょっと感動していました。

手術当日の朝、術後はICUに移動になるため荷物をまとめ、見舞いに来てくれた母に荷物を託し手術室に向かいました。

手術は全身麻酔で意識はないので先生を信じて寝ているだけでいいのでそんなに不安はなかったです。 手術室は想像以上に広く、人もたくさんいて、入るなりテキパキと麻酔の準備を進められました。無事しっかりと麻酔が効いていて手術中のことは一切覚えていないです。

セカンドオピニオンと転院

膵頭十二指腸切除の方法としては開腹か、腹腔鏡で行うかの概ね2択になります。腹部手術の中でも高難度の術式とされており、腹腔鏡を使った膵頭十二指腸切除は一定の基準を満たす限られた病院でしか実施されていないそうです。

大きな手術になるので担当医からは治療するにあたって転院も視野に入れた、セカンドオピニオンの病院選びを勧められました。調べたところ症例数が多く、なるべく手術実績の多い病院を選んだ方が良いそうです。こちら↓のサイトを参考にしつつ、気になる病院のHPを見たりして絞っていきました。病症別に各病院の治療実績が一覧で見れます。

caloo.jp

転院先を2つに絞って後日、病院から紹介状を受け取りセカンドオピニオンの予約の電話をしました。1つは今もお世話になっている大学病院で、もう1つは悪性腫瘍のセカンドオピニオンのみ受け付けている、とのことで門前払いな形になってしまいました。この段階では良性とも悪性とも取れない腫瘍で、良性か悪性か訊かれた時にがん腫瘍ではなかったので、「良性ですかね〜?」とふわっと答えてしまったのですが、まだ判断がついていないことをちゃんと伝えるべきだったなぁと感じています😣

セカンドオピニオンでは事前に治療法などをリサーチし、以下を要点に話を聞ければいいなと思っていました。

  • 膵頭の腹腔鏡下手術は可能か(病院によっては膵尾の腹腔鏡しかなかったりするっぽいので)
  • なるべく機能温存手術がしたく、腫瘍の位置によっては膵中央切除が出来るそうなので自分の場合は可能か

当日は後に担当医になる先生に色々と説明をしていただきました。 初めにSPNについてや膵頭切除の方法やリスクについて、経過観察という選択肢も一応あるよなどをざっと話してくれました。腹腔鏡下膵頭切除が可能なのは説明いただけたので、その後質問があれば、という流れで膵中央切除が可能かを聞きました。術後の膵液漏の発症率は上がるものの、胆のう・十二指腸は温存出来きて摘出部位を少なく抑えられるのでなるべく膵中央切除が望ましかったのですが、

「画像を見た感じ、血管あたりに腫瘍が浸透しているので厳しいと思います。」

とのことでした。ちょっと期待しすぎてたのか正直かなりショックでした。機能温存出来ればと期待していましたが、手術方法は従来の腹腔鏡下の膵頭十二指腸切除で確定して、この時点でだいぶ腹を括ることになりました。

セカンドオピニオンを終え、期待通りの結果では無かったけれど説明もわかりやすく、先生の人あたりも悪くなさそうで、場所についても駅近で通いやすいし問題なさそうだったので、この病院に決め転院に向けて準備を始めました。

転院手続きでちょっとややこしくなってしまったところがあったので参考として残します。

基本は転院先のHPに沿って手続きを進めました。問題になったのが紹介状で、どうやら紹介状は2種類あり、セカンドオピニオン用の紹介状・転院用の紹介状があるみたいです。セカンドオピニオンを受ける際に紹介状を書いてもらったのですが、どうやらセカンドオピニオンと転院の兼用の紹介状を貰っていたらしく、私も転院先の病院もそれを認識していなく、「転院用の紹介状欲しいです」と通院先に言ったところ、「もう渡したやん😲❗️」となって転院先に聞いたら、「そんなん知らん😤❗️転院用の紹介状くれ😤😤😤❗️❗️」となったので、結局再度紹介状を書いてもらうことになりました。仕事の合間を縫って通院していたため、やり取りが増えるのはかなり面倒でしたので、これから紹介状貰う方はセカンドオピニオン用か転院用か聞いて兼用だったら転院先にもその旨を伝えた方が良いです。